【海外大学を目指したら人生こうなった Vol.1】「海外にこだわらなかった」からこそ見つけた、ニューヨークという新天地

あけましておめでとうございます。コロンビア大学3年のスカイラーです!


2021年は、大変ありがたいことに多くの方々がatelier basiという団体の存在を知ってくださり、おかげさまで無事に一年間の活動をしめることができました。一方で、まだ私たちがどのような活動を行っており、どうサポートを行っているのか、イメージが付かないという方も多くいらっしゃると思います。また、「海外の大学にはどういう人が留学しているんだろう」「何を考えて高校生活、そして受験に臨んだんだろう」など、一般的な合格体験記のようなものではなく、より等身大の言葉で語られる思いに触れたいと考える方もいるかもしれません。


そこで、新春企画として、これまでatelier basiと深い関わりを持った人物のストーリーを聞いていく連載、題して『海外大学を目指したら人生こうなった』を開始します!第一弾として、atelier basiの一期生としてプログラムを受講し、地方の高校からコロンビア大学に進学したTさんをインタビューしました。筆者と同じ大学の後輩としてたくさん共感できる話があったなか、特に驚かされたのは「受験は受験。自分は自分」という心構え。今の自分を客観視し続け、夢に一歩近づいたTさんに、これまでの歩みを聞いてみました。


高校生の頃は、地方にある中高一貫校で寮生活を送っていたというTさん。中学卒業と同時に実家を離れ、県外の学校への進学を決めたきっかけは「大学受験などは特に見据えていたわけではなく、寮での日々を体験したかったから」と話す。周りにある小さな町とも関わりのある学校で、休日は友達と本を読んだり映画を見たりして過ごし、出かけたときには地元の住民と関わる機会もあった。のどかな日々を送る中、東進ハイスクールが開催する「全国統一高校生テスト」の決勝大会進出者として上京する機会もあった。そこで初めて首都圏を含む全国の高校生と関わり、校外での友人関係もできるなど、学校では得られない経験や繋がりを得ることができた。


Tさんはアメリカに滞在した経験もあるため、海外大学という選択肢があること自体は知っていたが、高校生になるまでは特に意識することはなかった。それはある意味、大学受験が目的化しないように、という心がけも含んでいたそうだ。後に自分を大きく成長させたという、多言語を用いた地元の温泉地の観光振興プロジェクトの立ち上げきっかけも、「観光していたときに道に迷った外国人観光客と出会い、外国語の表示などがないことに目が付いた」という身近な気付きから始まった。その後、友達と協力して観光協会の担当者と交渉し、無事に開催まで持ち込んだ行動力の原動力は、海外大学への受験において有利になりたいからではなく、強い好奇心や行動力によるものだったということは、Tさんと話す中でもしみじみと感じた。


アメリカの大学へ進学したいと考え始めたのは、毎年数人が海外学部留学をするという稀な関西圏の私立高校でノウハウを持つ教師の影響だったとTさんは話した。模擬国連の活動で会ったのち、経験のある先生からもらった「君なら大丈夫」という言葉に希望を抱くようになり、情報収集を行いながら親の説得を始めた。高校の時から興味を持っていた神経科学の分野においてアメリカでは最先端の研究が行われていることにも、強く惹かれた。Tさん曰く、親の最大の懸念は「アメリカに行くことが自己目的化していないか、海外進学希望の理由として挙げているものが後付けになっていないか、その場合運良く進学できたとしてもその後折れることになる」ということだった。考えに考えたが、海外進学をするべき根拠は思いつかず、自分の中に残ったのは「絶対に折れない意志」のみ。最後には親もその強い志を目の当たりにし、がんばれと一言、受験期の経済的・精神的サポートを約束してくれたという。


発足してまもないatelier basiの存在を知ったのは、米大学に通っている学校外の知り合いが勧めてくれたおかげだったという。2020年の春、ちょうど新型コロナの感染が国内で広がり始め、日本中の小中高にも並ならぬ影響が及ぶ中、Tさんも寮生活から自宅でのオンライン授業に移行したばかりだった。そんな予想だにしない状況に身を置く中で、地理的な制限を乗り越えたオンラインコミュニティに飛び込み、自分と境遇の似た仲間に出会いたいとの想いから応募した。


「全員違うフィールドで戦うので、いい意味でライバルとしては全く見ていませんでした。」


実際、海外学部進学の指導塾で出会う首都圏の高校生とも仲良くなれたが、atelier basiでは同じ地方出身でありつつも全く違う経験をしてきた学生と支え合い、友人の輪も視野も広がった。そして、出願直前までエッセイの構想を他の受講生と考えたり相談できたことや、一緒に頑張れる友達がいたことが良かったそうだ。atelier basiを一言で説明してほしいと頼むと、他では聞けないような初歩的な質問も聞きやすいコミュニティ」「憧れで動いてるコミュニティ」と答えてくれた。講師が指導を行う塾と違い、年が少ししか違わないメンターが将来自分がなりたい憧れになり、受験の原動力に変わっていった。また、エッセイの添削のみならず、塾では十分に得られない米大学受験に特有な推薦状のお願いの仕方や、出願ポータルの埋め方などの細かい指導も助かったという。Tさんのように高校に海外進学の先例があまりない場合、担任の先生とはステップバイステップで出願材料を一緒にそろえなくてはならないため、いつでも相談できる人の存在は強みになった。


最近、一部の間で話題になっている米大学への進学には憧れる要素ばかり感じるというコメントも見受けられる。しかし、Tさんはその現実的な一面についても話してくれた。一般的に米国の私立大学では学費と生活費が年間700から800万円という破格の額がかかるものの、Tさんは柳井正財団海外奨学金を受給することで、東京の大学への進学よりも少ない負担で済んでいる。一方で、もし奨学金に合格していなければ海外大学への進学はあり得たかと聞くと、「それはあり得なかった」と彼は答えた。あまりにも学費が高額であることや、国内大学の教育の質や、学生の勉強面におけるレベルなども劣らないと感じていたため、海外には強く拘らず、あくまでも選択肢の一つとして捉えていたと、Tさんは説明してくれた。また、自己分析や自己アピールを繰り返し、複雑で明確な基準のない選考プロセスに立ち向かう中で、多くの受験生は自信が薄れたり、本来の目標や夢を見失うことも多々ある。それを事前に予期していたTさんは、「どう足掻こうと今の自分でしかあれない、と割り切ることで精神を削られずに済んだ」と教えてくれた。ただ、多くの試練を乗り越えて大学に合格した今、少なからず純粋な挑戦心や無垢な心は以前よりも劣るとも打ち明けてくれた。


「米国の大学受験を検討している高校生は、まず学びたいことがなにかを明確にしてほしい。そうしないと、志望理由を書くときも自ずと大学でやりたいことが出てこず、何回も書き直すことになるし、大学に入ってからも迷うと思う。なので、まずはそこのイメージを掴むことが大事」


そう話すTさんは、今年はatelier basiのメンターとして活動に関わっている。短期間でたくさんの文章に真剣に向き合っていくことによる、感情が吸い取られるような疲労感に気付きつつも、成長していく受講生の姿には感動するものがあるそう。現在はコロンビアカレッジ(コロンビア大学の中のリベラルアーツカレッジ)の一年生として、伝統であるCore Curriculumという文学・芸術・社会学・倫理学・科学などを広く取り扱う教育課程に励みつつ、神経科学、とりわけ「脳内で想起される『複雑な立体』に関連する視覚的記憶の挙動」について知るべく勉学に励みたいという。新年の抱負を聞くと、「冬休み中ということもあって、今日は午後の5時に起きてしまいました。今年の抱負は生活習慣を整えることですかね」と笑った。


ばし日和☀️

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