みなさんこんにちは、はじめまして。今年の秋からWellesley Collegeに進学予定のりんです!昨年atelier basiのサポートの元絶対に届かないと思っていた第一志望校に合格することができたので、その恩送りをしたいと思い今年度の運営に携わることになりました。情報の不足で海外大を諦める高校生が1人でも減るよう精進して参ります!
今回のテーマは、高校生のときの私が一番聞きたかったこと......
「海外大進学、ぶっちゃけお金ってどうすればいいんですか!!!」
はい、これです(悲痛な顔)。結論から言いますと、海外大進学はお金が8割です。この論の根拠として、海外大受験の知られざる前提を5つ紹介したいと思います。(今回は、アメリカの大学のお金事情について解説します。他国の事情についてはこれからの記事を参照ください★)
【前提1】アメリカの大学は学費が高い!
https://www.wellesley.edu/sfs/cost
私が秋から通うWellesley Collegeを例にすると、授業料、活動費、寮費、食費すべて込みで79,040ドル(約861万円)がかかります。そこからさらに渡航費やお小遣いがかかるとなると、1年間で約900万円もの費用がかかってしまうのが現状です。
他の大学でも同じようなもので、
Columbia University:80,339ドル
Harvard University:73,800ドル
Williams College:75,520ドル
Amherst College:76,750ドル
学費が比較的安い州立大学でも、州外の人や留学生は追加費用が加算されるため、
UCLA:65,847ドル
UC Berkeley: 69,304ドル
がかかり、日本の国立大学の授業料約50万円、私立大学の約70-200万円と比べるとかなり高額なことがわかります。しかし、これはマックスで払った場合です。大学によっては収入に応じたFinancial aidや大学が出願者に魅力を感じた時に出すMerit Scholarshipといった学費減免・免除を受けられるため、全額を払うという人はアメリカ人でも半数ほどです。
【前提2】 留学生には厳しいFinancial Aid制度
https://www.internationalstudent.com/school-search/usa/
このサイトを見ても分かるように、何人の留学生にFinancial Aidを支給するか(Financial Aidを必要とする留学生を何人受からせるか)は大学によって大きく異なります。留学生に進んで奨学金を出す中西部のリベラルアーツカレッジ(例: Carleton, Middlebury, Grinnell, DePauw)や、収入が$65,000ドル以下の留学生に対しては学費無料にするColby College など、太っ腹な対応をしている大学もあります。
https://www.colby.edu/admission/apply/international-applicant-frequently-asked-questions/
一方、大規模の名門大学の中にはあまり留学生にお金を出しにくいところもあります。(例: UPenn, UChicago, NYU)これはあくまでも一般論なので、希望の大学の留学生に対するFinancial aidを確認してみてください。
【前提3】払える額が少ないと合格率が下がる!
1. MIT
2. Harvard University
3. Princeton University
4. Yale University
5. Amherst College
この5校はNeed blindと呼ばれ、「あなたの払える額は参考にしないで審査するわ!」というリッチな大学です。しかしながら、それ以外の大学は基本的に払える額によって大幅に合格率が上下します。よって、日本人には
①財団からの大きめの奨学金を獲得した上で出願する
②Financial Aidが無くても通えますよ!と大学に申請しておいて、合格後に「こんな大学にも私は受かったんですよ!」とアピールしながら財団の奨学金に挑戦する(ただし、そこで財団に落ちた場合は、大学に合格していても通えない。)
③財団からの奨学金無し、Financial aid申請ありで出願する(この場合、合格率はかなり低くなる。https://www.wesleyan.edu/admission/informationfor/international_old.html 少し古めのデータではあるが、Wesleyan Universityではファイナンシャルエイドを申請しなければ21.9%、ファイナンシャルエイドを申請すると5.1%と合格率に大きな開きがある。)
の3つの道があります。出願する大学の特性を考えながら作戦を練ってみましょう!
【前提4】奨学金を制する者が受験を制す!
奨学金がないと海外大に進学できない、というほとんどの方にとっては、奨学金への合格は大学合格以上に重要です。ここでは返済不要の海外大学部向け給付型奨学金をいくつか紹介します。
【ほぼ全額カバーしてくれる財団】
① 孫正義育英財団:いわずと知れた異能支援財団。大学進学予定者のみならず、幅広く募集している。
② 柳井正育英財団(予約型)(合格型):40名の学費を全額カバーしてくださる。凄い。対象大学が決められている。
③江副記念リクルート財団:理系のみ。在学中の大学生、大学院生も対象にしている。
④東進ハイスクール海外大学留学支援制度:全国統一高校生テスト決勝大会の成績優秀者用。超難関の対象校への進学を支援。
⑤ライシャワー記念奨学金:Oberlin Collegeの進学費用を全額負担。
⑥フリーマン奨学基金:Wesleyan Universityの進学費用を全額負担。
【かなりの額をカバーしてくれる財団。Financial aidや奨学金の併給をやりくりすれば自己負担を減らせる。人によってはこれだけで十分賄えるかも?】
①JASSO 海外留学支援制度(学部学位取得型):4年間の支給。
②グルー・バンクロフト基金: 総合大学1名、リベラルアーツカレッジ2名、あとは指定のリベラルアーツカレッジへ指定された人数分。指定大学の中に気になる大学があればトライすべき!
③Funai Overseas Scholarship: 4年間の支給。理系のみ。
④寺浦さよ子記念奨学会:1年間の支給。
⑤重田教育財団:2年間の支給。
⑥米日カウンシル渡邉利三寄付奨学金:1年間の支給。
⑦John and Miyoko Davey foundation:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44582400Z00C19A5000000/
ニューヨーク在住の美術収集家の方の奨学金。
インターネットの海を何時間もサーフィンすると、他にも沢山の奨学金に出会うことができるかと思います。その他にも、海外大学進学者のための奨学金を用意している県や自治体もあるので要チェックです。先輩の中には地元のロータリーや資産家の方に頭を下げたりと様々な方法で学費をまかなった方がいらっしゃいます。しかしながら、海外大学の学部正規留学向けの奨学金はまだまだ少ないのが現状なので、もしこれをご覧の大人の方がいらっしゃれば、財団を設立して頂けると幸いです...(小声)
【前提5】海外大の受験にはお金がかかる!
国内受験で模試代や塾代がかかるのと同様、アメリカの大学受験にもお金がかかります。
TOEFL受験費(かなり高い。海外経験なしの場合は何回も受けるうちに費用がかさみます。Duolingo English Testなら比較的廉価!)
TOEFL交通費・宿泊費(私は福岡まで毎回受験に行っていました...)
SAT受験費(加えて参考書代もかかりますが、atelier basiでは参考書の無料譲渡も行っています!)
SAT交通費・宿泊費(神戸まで行っていました。予約が取れなくて東日本まで行かなければいけないことも。)
課外活動費
出願費
これに塾代がプラスされると、とても一般家庭では手が届かない額になってしまいます。atelier basiでは完全無料で受験生の皆さんをサポートしているので、受験費用を極力抑えたいという皆さんのご応募もお待ちしています。
また、高額なサマーキャンプなどに参加できず困っている高校生の皆さんもいるのではないでしょうか。そんな皆さんにお勧めしたいのは、自分の周りの課題を解決することです。海外の大学は課外活動をスケールの大きさだけでは決して判断しません。「置かれた場所でいかに咲いたかどうか」を見てくれるので、大会やキャンプに参加できないと悲しくなる日もあるかと思いますが、どうか夢のために今の自分の環境で何ができるかを考えてみてください。
【結論】海外大受験はリスクが高い。しかし、不可能ではない。
皆さんは「生存者バイアス」という言葉をご存じですか?生存者バイアスとは、「何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、通過に失敗した人・物・事が見えなくなること」を言います。
近年のグローバルブームで海外大進学を志す高校生は激増していますが、奨学金の枠は僅かに増えただけ。つまり、これから志望者が増え続けても進学者が増えるわけではないのです。私の知人にも海外大を志望して全落ちした人、受かっても奨学金が足りず断念した人が沢山います。それでもなお「海外大は万能薬だ」というような言説が世の中には回っており、「海外大なんて誰でも挑戦できる」という甘い言葉に誘われて受験に失敗してしまう人もいます。だからこそ伝えたい。
①とても優秀でFinancial Aidを申請しても引く手あまた
②家庭の経済状況により奨学金無しでも進学できる
このどちらか、もしくは両方の要素を持ち合わせていない限り、どのようにしてリスクを回避するか、を念頭に置いた柔軟な受験計画を立てるべきだと思います。「リスクを取ってでも大胆な選択をしろ!」というような人がいたとき、その人の実家の経済状況が自分と似ていない場合はあまり参考にしないほうが良いです。特に浪人が経済的に許されないような家庭の場合、後先考えずにリスクヘッジをしないと大学教育までもが受けられなくなることも有り得ます。
ここでもし「ちびまる子ちゃん」のような静岡の八百屋の一般家庭から海外大受験を志すなら、日米併願をすることが賢明だと個人的に私は考えます。前述のとおり、日本の大学の学費はアメリカの大学に比べかなり安いです。高2の段階で国内の志望大学のA判定が取れているような方だと秋冬をエッセイ執筆に使いながらも一般受験に挑戦できる可能性がありますが(事実東大→海外大というコースは多い)、そうでない方には総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試という手もあります。秋に退学前提だと推薦入試は学校に受けさせてもらえない場合もあるので、高校との話し合いは必須です。私も受験前は「併願なんて無理だよ...」と思い込んでいましたが、いざとなると火事場の馬鹿力が働いてどうにかなるものです。笑
【海外大生の典型的な併願先】
早稲田国際教養
上智国際教養
慶應法学部FIT入試(b方式の成績優秀者には学費の減免制度があります。)
慶應sfc 総合型選抜
国際基督教大学 総合型選抜(学費は高いですが、年収によっては全額奨学金に応募できます!)
その他国立の大学にも沢山の総合型選抜や推薦入試があるので、私立は金銭的に無理という方も諦めずリサーチしてみてください!
と、ここまで厳しいことを沢山書いてしまいましたが、最後に1つ。海外大学進学は、難しいけれど不可能ではありません。国公立大学くらいの費用しか出せない、という条件下で挑戦した先輩方も沢山いらっしゃいます。私も秋までは国立大学に通い、秋からは奨学金のお陰で自己負担無しで海外大に進学するため、結果として国内大学に進学するのより安い費用で大学教育を受けられるようになりました。また、ここまでアメリカの大学進学について書いてきましたが、欧州やアジアなどの大学にはとても安価で留学できることもあります。
「海外大学=高いから、自分には手が届かないから無理」、と諦める前に、情報収集を重ねて本当に無理かどうかを考えてみてください。経済的・成績的に飛びぬけていなくても、情報収集力次第では逆転が可能です。そう考えたら、なんだかワクワクしませんか?この記事が親御さんやご自分自身の説得材料になれるのならば、それ以上の幸せはありません。これから私は「ハングリーなちびまる子ちゃんが海外大受験をするとなったらどんな情報が欲しいだろう?」ということを考えながら記事を書いていくので、我こそはハングリーなちびまる子ちゃんだ!という方がいらっしゃれば、ぜひついてきてくださいね。それではまた!
りん
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